勝手に連載#4

散文休日記 違う天井編

諏訪での1日を終え、17時頃に宿に戻ってきた。素泊まりの1番リーズナブルな部屋を予約したが「本日お一人様でのご予約ですが、ベッドはお二つあるお部屋になります」と通された。入ってすぐ右方向にシングルベッドが2つ鎮座しており、諏訪市公認 宣伝キャラクターの"諏訪姫"という女の子がお茶を飲んでこちらを見ているイラストが大きく掲げられていた。「この子と今日過ごすのか…」と思いながら、1時間ほど横になりながら、長野で放送されている番組を眺めていた。この時間、私は身の回りの心配事や考え事など全て放した状態だっだ。

いつもと違う天井、いつもと違う硬さのベッド、ぴっちりと清掃されたベッドに罪悪感を抱きながらそのまま煎餅を食べた。「なにも…考えたくない…」と思いながら無心で煎餅を噛み砕き、塩気とテレビ番組の音が聞こえる感覚だけがただそこにあった。休日に何もしない時間はこういうことなんだと諏訪姫とテレビを眺めた。

しばらくして、宿に付いている大浴場へ行ってみることにした。お客は私しかおらず、ラタンの椅子が静かに整列し、扇風機が回る音と私の脱衣する音がした。露天風呂なども入ったが、一向にお客が来ないので何故か不安に駆られてきて そそくさと風呂から出た。

私しかいない洗面場で馬油や何が良いか明確には不明だが、肌の調子を整えるであろう乳液をふんだんに塗りこむと「これだよ…」と満足した。知らないにおいに包まれた顔に気分が変わる。

いつもと違う天井の下で、様々な気分が積み重なった私はそのまますぐ寝てしまった。

翌日の諏訪湖の朝焼けを見るために。