勝手に連載#2

日高屋物語

 


「このレバーめっちゃ美味しいよ、レバーいる?」

「ううん、いらない」

「え、めっちゃ美味しいのに」

「おれレバー苦手」

「これレバーじゃないよ」

 


ツインテールの女の子とホストらしき人男性の日高屋でなされた会話

 


私は今、全身が耳の形になっているのではないか というくらい真横の座席に神経を向けている。そして黙々と炒飯を口に詰め込んでいる。

「これレバーじゃないよ」は「レバー特有の味がしないくらい美味しいレバーだよ」という意味だと解釈した私は、レバニラ炒めを頼めば良かった…と思うと同時に、このおいしさを彼に共有して欲しくて言った言葉だと思って泣けてしまった。彼女、幸せになってくれ…

立て続けに彼女は、「チロルチョコ食べる?これ友達にもらったの。」と言いながら四角いチョコを手元で転がしていた。男性は「ううん、いらない」と一言。

私は炒飯を食べていた事も忘れ、レバーじゃないレバニラと貰われなかったチロルチョコの事で頭がいっぱいになった。悲しすぎるだろ。

彼女はどんな気持ちで日高屋のレバニラを食べたんだろう…と店を出てからも考えてしまった。てゆうか日高屋のレバニラ美味しいよね。チロルチョコ、渡したかったよね。だって好きだから…ともう1人の私が会話し始めた。もう1人の私と日高屋に行ってレバニラ炒め頼もうかな。