勝手に連載 #13

シャレた店構えの壁に「TAKE OUT ドーナツあります」という張り紙を引越し後に見かけては「いいなぁ、ドーナツなら私でも買いやすい…」という想いを抱えて半年が経った。
だが今日、突如自分に降ってきた瞬発力によって店に入った。入ったというより入ってしまったの方が正確だ。
「あー!ドーナツ今日は終わっちゃったんですよ〜」と言われ、「デザートはティラミスがあります!」そう付け加えられた。
ここで店を退くのも勇気を出して入店した己が報われないと思い、「ティラミスお願いします」と大きな器の人間ですみたいな顔で言った。値段を見ずに。


「630円です!」元気よくお洒落でラフな感じのお姉さんから放たれた。そうか…500円は固いと思っていたが、630円。この小さなティラミスは630円…。いや昨今の物価高で提供するには630円は必要なんだ…。「これからお出かけですか?」と聞かれたが、夕方にティラミス1つをテイクアウトして出かけると………思った…のか…と思いながら「帰ってゆっくり食べようと思って!」と返す。

屈託のない表情で投げかけられた質問に私は言わずとも、値段について、買って帰ることについて反芻してしまった。

私はやはりシャレ人(しゃれんちゅ)とは違う世界に生きているんだ…と思いながら帰路についた。

勝手に連載#12

先日中学の同級生から12年ぶりくらいに急に「今日担任に会うんだけど元気かなーって思って」と連絡がきて、私も思い立って当時お世話になった担任に連絡をして15年ぶりに会うことになった。中学生の頃の担任は当時は33.4歳とかで年齢を聞いたら「今年もう49だよ」と言われて驚いた。

私が最近暗渠にハマっていると連絡すると、久々の再会は暗渠巡りにしようという話になり、午前中から歩き回り、ご飯を食べてまた歩き続けるという謎の再会を果たした。(結局2万歩歩いた)
担任はもう教員という立場からは退いたそうで、母校を見に行ってみようと出来心で帰りの目的地にして向かった。すると当時私の中学1年次、3年次の担任にバッタリ遭遇した。(休日出勤だったそう)
その横に当時の家庭科の先生もいて、全員驚き過ぎて状況が飲み込めず、かなりカオスだった。記憶に残る1日となった。

中学生の私にナンシー関を教えてくれたりした担任だったのだが、今聞いているラジオなども割と一致したり、登山にハマっていたり、全く連絡を取っていなかった十数年が感じられない程話が通じて驚いたし、話し方や所作が当時から変わっておらず、人間…やばい…という気持ちになった。

勝手に連載#11

6時過ぎに目が覚めた。今日は土曜日で休み。(という事にしたい)

確定申告がまだ終わっていないが今週は何かと稼働が重なり、「今日は自分の為に1日を使っていいよ」と言い聞かせて今日までやってきた。

せっかく起きれたことだし、30分程散歩をして7時から営業しているジョナサンにでも行こうと決めた。3日前に着たトレーナーを適当にかぶり、天気が良くて洗濯したいけど花粉がな…と思いながら脱ぎ捨てた部屋着をみつめた。冬ってみんな毎日この分厚い服を洗っているのだろうか。

朝の光に照らされたコンクリートが雨の降った後をひいてまだ黒くしっとりとそこにあった。朝露で住宅街の車のボンネットがキラキラしている。

ここ最近、イランで続いているイスラエルとアメリカの攻撃のニュースを観るたびに毎日どうなってしまうんだろう…と思いながら過ごしている。ジョナサンに入店すると「イラッシャッセー」と東南アジア出身っぽい女性店員さんが案内してくれる。彼女はどういう気持ちでこの街で暮らしているんだろう…。

どうにもならぬ微妙な気持ちをドリンクバーがコーヒーを抽出するゴゴゴという音と一緒に誤魔化す。7時台のジョナサンの店内は私を含め10人ほどで、知らない土地で朝のビュッフェ会場に来た時と似た雰囲気を感じた。一番手軽なセットで500〜600円ほどでドリンクバー付きモーニングがある。本を読んだり、書き物やパソコンをしている人がそれぞれの領域を守りながらくつろいでいた。

一昨日現場帰りに買ってきたオードリー若林の新刊をやっと開封する。今日のために読まないでとっておいていた。この文章を打っている時点で第一Q(クォーター)は読み終えた。

小説内で「荻窪」や「吉祥寺」「中野」と言った私に馴染みのありすぎる土地の登場により、私個人の思い出が頭の中で広がってしまい、読み進めるたびに立ち止まり、自分の記憶を確認する時間に使ったりした。

穏やかに店の中が10時の光になっていく。私に何ができるんだろう…と思いながら小さくテーブルの下の足を組み替えた。

 

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勝手に連載#10

オシャレなインストゥルメンタル、木製の椅子、裸電球が吊り下げられたナチュラルな暮らし系…そんなカフェにきた。

買った本があったのでそれも読もうと入ったのだが、急斜面の2階にあるこじんまりとした店内に壁に向かってスマホ、Switch、iPadを机に並べ、ヘッドホンをしている人影があった。それはカフェのオーナーの息子(小学校高学年に見える)であった。

こんなナチュラルなオシャレ空間には異様な息子。 店内に私1人になった途端、親子の会話が始まり 私は本を読むのを止めた。

生成りの空間にSwitchの赤と青が発光している。息子はどんな気持ちで母のカフェでゲームをしているのだろうか。

カフェのかぼちゃマフィンはめちゃくちゃおいしかった。おいしかった故、息子はおそらくおいしいご飯を食べて育っているのかと思ってなぜか泣けた。あんなぶっきらぼうに「荷物なんでこっちにどかしたの?」等と母に突っかかっていた息子…。息子…。おかあさんの優しさにいつか気づいて伝えてあげてね…。

勝手に連載#9

マクドナルドこそリアルがある。

数年前にお世話になっていた仕事の上司にあたる人と渋谷のカフェで3時間ほどお茶をした。私は数年働いていた場所を退職したばかりで 最近どうよ という話やおすすめの本の話などをした。デパ地下のような場所でお茶をしたのだが、その場所によく来るであろうおばあちゃまや1人の時間をゆっくり過ごしたい人などが集まる場所だった。

お茶会終了後、私は次の予定まで1時間ほど時間をつぶす必要があり、オシャレなカフェに行く気分ではなかったため最寄りのマクドナルドへ駆け込んだ。

マクドナルドにはリアルがつめこまれていた。

フロアの階段をのぼると金髪のつっぷしたまま眠っている若者、試験勉強をする中高生、資格勉強であろうサラリーマンなど、それぞれの目的がはっきり感じる光景が広がっていた。

私もコーヒーがなんとなく好きなのでいわゆるミニマムでオシャレなカフェなども興味があり、行ってみるのだが そこには蛍光マーカーをキキキと引く音は聞こえず、小説のページをめくる音か茶器の擦れる音、オシャレなインストゥルメンタルしかきこえないのだ。(でもこういう空間も好きではある)

マクドナルドもやはり私は好きで、飾らず、生活のリアルがそのまま広がる部分に共感し、安心するのである。オシャレなカフェはインスタ等のストーリーでシェアするが「今私はマクドナルドにいます」と発信する人は少ないと思う。マクドナルドの雑多さが自分の存在を肯定してくれている気さえする。

定期的にマクドナルドの店内利用をしたくなる事があるのはこの光景を目撃したいからかもしれない。しなしなになった紙ストローを吸いながら自分の存在を感じた。

 

勝手に連載#8

もう8月が終わるらしい、怖過ぎる…

とここ数ヶ月の月末に毎回驚いている。夜はやや涼しくなってきており、台風のニュースが増えつつも秋の訪れに多少の喜びを感じたりしている。

今いる会社を10月末に退社しますという意を上司に伝えたのはつい2.3週間前だった。その間に後輩が急に辞めたりとまわりも忙しなく動いていて 人の関わりって不思議だよなと思ったりした。

今いる場所は3年弱お世話になったのだが、今までの自分には考えられない対人関係やサービス精神などが鍛えられ、仕事となると私はこういう一面もあるのかと驚愕した。後輩の教育をしたりする自分を3年前の自分が知ったらかなり驚くと思う。自分というものは地続きであるが時間が経つと別人だったりするという話を友達とした事があるが、今も実感としてそれはあるなと思う。自分というものがどういう奴なのかと簡潔に説明するのが年々難しくなっているなとふと思った。別人のような自分も同居していたりいなかったりがあるような… 

この文章に大きな意味はないが、ぼんやり頭の中で考えている事を数ヶ月後に思い出すために書いている。 明日から久々に2連休と言い渡されたが何をしようか…自分の写真をまとめます… 

 

勝手に連載#7

平日の急な休みに神保町へきた。

世の中は三連休明けの火曜日だが、仕事の都合上三連休などは私に存在せず、週休2日(どのタイミングで休みが来るかは不明)の生活が2年半程続いている。

仕事の日は駅に向かう途中のファミマで30円引きのパンを買い、128円で体を動かすような生活をしている。学生時代からの貧乏性が抜けず、割引シールが貼られた袋をごく自然に手に取る自分がいる。極貧生活を強いられている訳ではなくともそういうシステムに体がなってしまっている。そもそも食に対しての優先順位がふわっとしているからなのだが…

神保町シアターで当日チケットを午前中に買い、開場まで時間を潰す。近くにあった「豆香房」という珈琲屋に入る。都内に数店舗あるチェーン店らしいが豆オジサンとかいうキャラクターのグッズを展開しており、「私が買わないといけない…」という使命感にかられてトートバッグと豆(これは友達にあげる)を購入 こういった場面になるとホイホイ財布の紐が緩むのはなんなんだよと自分でも思う。自分で稼いだお金だからいいけど…

普通の平日にぶらぶら徘徊するくらいの気持ちを忘れたくないなと思いながらこの文章をカレー屋で書いている。今日は曇りで時たま雨が降るような天気だけれど、全体的にやる気がない感じで休みを過ごそうとおもう。おわり。